貿易実務の基本~関税の調べ方~

貿易実務.jpg

連日、ニュースでも報道がありますが、米国と中国の貿易戦争が一向に収束しませんね。以下の表は、米国の中国に対する輸出入額、及び貿易収支の推移です。

スクリーンショット 2019-05-16 11.28.23.png

米国の中国に対する貿易赤字は今に始まったことではありませんが、2018 年には赤字額が4,190 億ドル(約46 兆円)にまで膨れ上がっています。この膨大な赤字を解消するため、米国が輸入関税を引き上げたことをきっかけに、関税の引き上げ合戦(=米中貿易戦争)が始まりました。世界第一位と二位の国の間で発生している貿易戦争、日本への影響も必至。早く収束に向かうことを祈ります。

私は大学卒業後9年間、自動車部品メーカーでBtoB 営業に従事していました。連結売上高の50%以上を海外子会社が稼ぐグローバル企業であったため、主な仕事は担当製品の世界シェアを上げること。海外拠点の営業とタッグを組み、各地域における見込客の発掘からアプローチ、商談、クロージングまでを担当製品の責任者として担っていました。そんな経験から、貿易実務は得意分野です。

本日は、輸出を検討する際に必要となる関税の調べ方についてお伝えします。


関税の調べ方

1. HS コードの確認

HS コードとは、製品区分ごとに定められた世界共通の番号です。関税はHS コードに紐付いています。そのため、先ずは輸出する製品のHS コードを確認します。HS コードは、財務省貿易統計 輸出統計品目表に記載されています。例えば、岐阜の名産である柿のHS コードは、以下の通り『0810.70』となります。

スクリーンショット 2019-05-16 11.28.32.png

2. WorldTariff 登録

HS コードに基づき、仕向先国の輸入関税を確認します。輸入関税を確認する方法は複数ありまが、ここでは簡単に確認ができるWorldTariff を紹介します。WorldTariff とは国際宅配便業者であるFedex が提供する、関税の検索システムです。WorldTariff の使用にはユーザー登録が必要となります。登録は、ジェトロホームページから行います。

※ジェトロホームページのユーザー登録タブ以外から登録を行うと関税検索ごとに費用が発生する可能性があります。登録は、必ずジェトロのホームページ経由で行ってください。

3. WorldTariff 検索

登録が完了するとユーザーID とパスワードが指定のメールアドレス宛に送信されます。このID とパスワードを利用して、WorldTariff にログインします。一例として、香港に柿を輸出する場合の、輸入関税を調べていきます。

スクリーンショット 2019-05-16 11.28.43.png

必要事項を入力して、Submit のタブを押すと関税が記載された画面が表示されます。

スクリーンショット 2019-05-16 11.28.51.png

関税は、こちらの画面の右端に記載されているMFN(WTO 協定税率)の列に表示されます。この場合は、Free なので関税が不要であることが分かります。以上が関税の調べ方となります。

今回の柿のケースであれば、HS コードは簡単に特定できます。しかし、機械部品のように部品の材質でHS コードを特定すればよいのか、機能で特定すればよいのか判断に困るケースがでてきます。そのような場合には、仕向先国の税関へ製品のカタログを送ってHS コードを確認してください。(自社で税関への確認が困難であれば、フォワーダー:運送手配業者に問い合わせると確認してくれる場合があります。)

また、日本と自由貿易協定(FTA)を締結している国の場合は、MFN と税率が異なるケースがあります。こちらは別の機会にご説明します。